一年のうちで最も美しい月と言われる中秋の名月。その名の通り秋の真ん中の月を指し、具体的には旧暦の8月15日の月のことを言います。この時期に月を愛でる「お月見」は日本を含めアジアの国の風習で、西洋にはこういった風習はありません。今回の記事ではこの「お月見」をどう英語で表現できるか考えてみましょう。
月を「見る」はviewを使う
「見る」を英語にすると様々な表現があります。多くの方がwatchやseeといった英単語をまず思い浮かべるのではないでしょうか。でも、お月見をする時に使いたいのはviewという単語です。viewは名詞としても動詞としても使える単語で、名詞であれば「景色」や「眺め」という意味になります。「お月見」する時の「見る」には、このviewという単語がピッタリきます。
「お花見」のこともcherry blossom viewing partyと表現しますから、同じようにmoon viewing partyと言えば「お月見」ということになります。“watch”は動いているものをじっと観察するように見る時に使い、“see”は積極的に何かを見るというよりも、何かが視界に入ってくるというような消極的な「見る」の意味です。どちらも「お月見」にはあまりふさわしくない表現です。
ちなみにviewはwatchと同じように「テレビや映画などを見る」という意味でも使えます。スポーツの試合を皆で一緒に観戦するイベントを「public viewing(パブリック・ビューイング)」と言いますよね。viewはwatchよりも堅い印象があるので、日常使いで用いるよりもちょっと改まった場面で使う表現です。
- I had a moon viewing party with my friends.
(友達とお月見パーティーをした) - I saw a beautiful moon last night while walking back home.
(昨晩、家に歩いて帰る際に綺麗な月を見た)
月を「楽しむ」という意味でenjoyを使ってもOK
「お月見」には「見」という言葉が入るので、どうしても「見る」という表現を使いたくなってしまいますが、もう少し柔軟に考えてみると「enjoy(楽しむ)」でも十分に意味が伝わります。お月見をする時、私たちはただ月を見るのではなく、綺麗な月を眺めながら楽しい時間を過ごすということをします。これはお花見でも同じことですね。一緒に過ごす友人とのおしゃべりだったり、一緒に食べる美味しいお団子やお茶、場合によってはお酒やおつまみを楽しんだりします。「view(見る)」という単語を使わずに「enjoy(楽しむ)」という表現を使うことで、お月見のいろんな要素を含めて表現することができそうです。
月を「愛でる」ならadmire
美しいものを感服しながら眺めるような時にadmireという単語を使うことができます。admireはただ何かを見るというのではなく、そこには感嘆の気持ちが含まれています。例えば、美しい花や景観などを「綺麗だな」「素晴らしいな」などと思いながら眺める時に使うことができます。「鑑賞する」「愛でる」というような日本語をあてることができそうです。また、admireは人に対して使うことも多い表現です。その場合は「賞賛する」「あこがれる」というような意味になります。景色に対して使う時と同様に「感服」「感嘆」の意味が込められます。人や物や景色などを「その良さに感銘を受けて賞賛する」というような意味がadmireにはあります。
OtsukimiやTsukimiでも通じるかも?
英語圏にはないものや概念などを伝える時は、英語にぴったりくる表現がないことも多いです。そんな時は日本語をそのまま英語にして伝えてしまうのも1つの手です。日本の文化についてある程度知っている人にはそれで通じることもあります。ただ、必ずしも相手が知っているとは限りませんから、その後に補足説明を加えると安心です。
例えば “I had an otsukimi party, a moom viewing party, with my friends.” のように言ったり、 “I had a tsukimi party with my friends. Tsukimi means moon viewing, and in Japan, we have a custom to enjoy the beautiful moon at this time in the middle of autumn.(友達と月見パーティーをしました。
月見は「moon viewing」という意味で、日本では秋の中頃の今の時期に綺麗な月を楽しむ慣習があるんです)”といった具合です。詳しく説明するのは難しいかもしれませんから、その場合はmoom viewing partyとだけ付け加えておくと良いですね。でも、もし相手が日本の「お月見」を知っていると確信があるなら、説明なしにOtsukimiだけでも大丈夫だと思いますよ!
〜会話例〜
A: I had an otsukimi party, a moon viewing party, with my friends yesterday!
(昨日、友達とお月見パーティーをしたのよ!)
B: Really? Where?
(そうなの?どこで?)
A: One of my friends lives on the 10th floor of a condo and it has a wonderful view! So, we decided to have an otsukimi party at her place. It was like a potluck party and everyone brought some food and drinks. We enjoyed chatting, eating, and drinking while admiring the beautiful moon!
(友達がマンションの10階に住んでいて、凄く景色がいいのよ。それで、彼女の部屋でお月見パーティーをすることにしたの。持ち寄りパーティーみたいな感じで、皆がそれぞれ食べ物や飲み物を持ち寄ったのよ。綺麗な月を鑑賞しながら、お喋りしたり飲んだり食べたり楽しんだのよ!)
B: Sounds like fun!
(たのしそうだね)
この記事を書いた人
Yoshiko
こんにちは。英語講師・学習コンサルタントのYoshikoです。
洋楽をきっかけに英語学習を始め、日本の大学で英語を学び、留学経験なしに英語を習得しました。
英会話スクールで10年以上教えた後に、現在は大学講座、法人研修での指導、オンラインレッスンや学習コンサルティングを行っています。トータルで20年以上の講師経験と日本で英語を習得した経験をもとに学習サポートを行っています。
英語を教えるだけでなく、英語の学び方・トレーニングの方法もお伝えしています。皆さんが英語を使って世界を広げ新しい可能性を広げていけるように、学習のお手伝いができればと思います。
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