日常会話でよく使う「ほとんど」という言葉。色んな場面で耳にするかと思いますが、英語では「ほとんど」を意味する表現が複数あります。肯定文で使える表現から、「ほとんど~ない」という否定の意味を含むものなど、それぞれに使い方がちょっとずつ異なります。そういった用法の複雑さと、日本語表現と英語表現の微妙なニュアンスの違いから、日本語の「ほとんど」を英語で伝えようとして上手く伝えられない日本人が多いようです。今回はそんな、日本人の多くが苦手とする「ほとんど」を表す英語表現について解説していきたいと思います。
1) Almost
“almost”は皆さんご存じの単語かと思いますが、使い方に気を付けたい単語でもあります。まず覚えておきたいのは、“almost”は「副詞」であるということです。副詞と言われてもピンと来ない、という方もいるかもしれませんので、まずは副詞の使い方を確認しましょう。副詞は動詞や形容詞など、色んな単語を修飾することができるのですが、名詞は修飾できません。日本人によくある間違いが、「ほとんどの人」という意味で“almost people”と言ってしまうことです。正しくは“almost all people(ほとんど全ての人)”となります。“people”という名詞を修飾することができないので、“all(全ての)”という形容詞を入れて初めて意味を成すのです。
また、動詞を修飾する時は「ほとんど~するところだった」という意味、つまり「結果として~しなかった」という意味として使われることが多いです。例えば、“I almost missed the train.”と言うと「もう少しで電車に乗り遅れるところだった(何とか間に合った)」という意味です。「週末はほとんど家にいます」というように「ほとんど~する」と言いたい時は、“I almost always stay home on weekends.(週末はほとんどいつも家にいます)”と言ったり、“I usually stay home on weekends.(週末はたいてい家にいます)”と言うことができます。この意味では“usually(たいてい)”を使うことの方が多いです。
2) Most
“most”も「ほとんど」を意味しますが、“almost”と違ってこちらは形容詞です。“almost”が名詞を修飾できないのに対して、“most”はその逆に名詞のみを修飾します。なので、「ほとんどの人」と言いたい時は“most people”となります。また、“most”を名詞として使用することもできます。“most of ~”と言えば「~のほとんど」という意味になります。例えば、“Most of my friends live in Osaka.”と言えば「私の友達のほとんどが大阪に住んでいる」という意味です。同じような意味の文章を“almost”を使って表現するとどうなるでしょうか?“almost”は副詞で、後ろに形容詞が必要なのでしたね。そうするとこんな文章が出来ます。
“Almost all my friends live in Osaka.”
(私の友達のほとんど全員が大阪に住んでいる)
“most”と“almost”は、文法的な用法だけでなくニュアンスも少し変わります。“Most of my friends”が「友達のうちの大体8割から9割くらいかな?」という印象なのに対して、“Almost all my friends”というと9割かそれ以上、より100%に近い割合という印象があります。「ほとんど」がどれくらいを指すかも微妙に違ってくるのです。
3) Rarely, Hardly
「ほとんど~しない」「めったに~しない」という意味で、“rarely”や“hardly”という表現があります。動詞を修飾する副詞として、一般動詞の前、be動詞の後に置いて使います。頻度を表す時は“hardly ever”という言い方がよく使われます。例えば、“I hardly ever eat out.”と言えば「私はめったに外食しない」ということです。be動詞と一緒に使う時は“He is rarely late for class.(彼はめったに授業に遅れない)”となります。また、“hardly”は頻度を表す以外にも“can”を伴って「ほとんど~できない」という意味で使うこともあります。“I can hardly hear you.”と言えば、「あなたの声がほとんど聞こえない」という意味です。否定語の“not”がなくても、これだけで「~ない」という否定の意味になります。
4) Little, Few
“little”や“few”も同じく「ほとんどない」を表す表現です。こちらは形容詞ですので名詞の前に付けて使用します。後に来る名詞が数えられない名詞(不可算名詞)なら“little”を、数えられる名詞(可算名詞)なら“few”を用います。例えば、「時間がない」「お金がない」などと言う時は“I have little time.”、“I have little money.”となり、「友達がいない」と言う時は“I have few friends.”となります。“a”をつけて“a little”や“a few”とすると「少しある」という意味になるので、「ほとんどない」と言いたければ“a”をつけずに使うようにしましょう。“rarely”や“hardly”もそうですが、“don’t”などの否定語を使って否定文にしなくても、それ自体に否定の意味が含まれている単語というのが英語にはあります。日本人の多くがこういった単語を苦手とする傾向がありますので、少しずつ慣らしていくようにしましょう。
〜会話例〜
A: Oh, no! I almost forgot to tell Jane about our reunion!
(大変!ジェーンに同窓会のこと知らせるのをもう少しで忘れるところだったわ!)
B: You’re having a class reunion?
(同窓会するの?)
A: Yes, some of my friends from high school get together for drinks almost every year. But she’s the only one who rarely attends.
(ええ、高校時代の友達何人かが集まって飲み会するのよ。でも、彼女だけがほとんど出席しないのよ)
B: She must be really busy.
(きっとすごく忙しいのね)
A: She is. She can hardly make time to come back to town. But if we don’t invite her, she gets offended.
(そうなのよ。町に戻って来る時間をほとんど作れないのよ。でも、招待しないと気を悪くするのよね)
B: If you’re connected on social media, she’ll find out anyway.
(SNSでつながっていると、どっちにしろ分かるものね)
A: That’s right.
(そうなのよ)
A: Have your friends all left town?
(友達はみんな町を出たの?)
B: Most of them have. Very few of us still live in this city. It’s just me and Cindy. So, we organize our reunion and let everyone know.
(ほとんどがそうね。私たちの中でこの町に今も住んでいる人はほとんどいないわ。私とシンディだけ。だから、私たちが同窓会を取り仕切って皆に知らせるのよ)
この記事を書いた人
Yoshiko
こんにちは。英語講師・学習コンサルタントのYoshikoです。
洋楽をきっかけに英語学習を始め、日本の大学で英語を学び、留学経験なしに英語を習得しました。
英会話スクールで10年以上教えた後に、現在は大学講座、法人研修での指導、オンラインレッスンや学習コンサルティングを行っています。トータルで20年以上の講師経験と日本で英語を習得した経験をもとに学習サポートを行っています。
英語を教えるだけでなく、英語の学び方・トレーニングの方法もお伝えしています。皆さんが英語を使って世界を広げ新しい可能性を広げていけるように、学習のお手伝いができればと思います。
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