睡魔と闘っている中、倒れそうになるところで急に目がパッと覚め、時計を見ると既に午後9時を過ぎていた。 10分前に親が「もうすぐ帰るよ」 と電話で言っていたにもかかわらず、またかけることにした。 「ねぇ、何時に帰ってくるの?」 と同じ質問を投げかけると 「もうすぐ帰るからね」 と聞き慣れていた返事が戻ってきた。 こんな日々が何年続いただろう。 帰ってくる時間が遅いのは分かっていたのに、それでも毎晩、幾度も親の仕事場に電話をかけていた。 寂しかった。。。
幼稚園の迎えもそうだった。 放課後のチャイムが鳴ると駐車場には沢山のお母さんが迎えに来ていた。 でも、そこには僕の母親はいなかった。 「ジュンのお母さんは?」 と友達に聞かれると 「今日も仕事が忙しいからちょっと遅れてるんだ」 と平気な顔で当たり前のように言っていたが、本当は寂しかった。 なぜお母さんは時間通りにこないんだろう、みんなのお母さんは来るのに。。。駐車場から出て行く車を一台一台眺めながら、頭で繰り返される質問だった。 |