今回でこのコラム(淳情英会話物語 )は最終回になるが、自らの経験を通してハーフが抱える悩みや苦労、考え方や物事の見方について多くのエピソードを語ってきた。幼少期に経験したいじめ、青春期の自分探し、大人として開いていく人生の扉・・・ハーフに限らず、だれでも成長していくために歩んで行く道である。ハーフだと、両方の文化を目で見て肌で感じ、人によっては両言語の教育を同時に習得できるメリットがある一方、アイデンティティの問題で悩まされたり、両言語とも中途半端になってしまう可能性もある。この最後のコラムでは、僕が思う「バイリンガルハーフ」の意味について語ろうと思う。
家族の協力あってこそ
ハーフは両文化を肌で実感できると前述したが、決して全員がそうとは限らない。あくまで自分が把握しているなかでの話だが、国際結婚の離婚率はかなり高い。身の回りのハーフの友達も、残念なことに離婚している家庭が多いのが現状だ。ハーフで生まれ育っても、結局は家庭が円満でないかぎり、二つの文化に浸り、二つの言語を話し、二つの異なった教育システムを受けることなんて出来ない。バイリンガルハーフになること、それは家庭というしっかりした土台があってこその賜物なのだ。大人になってこのように考えるようになったことで、これまで自分を育ててきてくれた両親に改めて感謝の気持ちでいっぱいだ。
自分一人の力でバイリンガルハーフ、およびバイリンガルになることは難しい。勿論、高校や大学から独学で外国語を習得してきた優秀な人々にたくさん出会ってきたが、やはり子供の頃から教育を受けている人には適わない。真のバイリンガルは、親が育てていくのだと思う。「バイリンガルにさせたい!」という親の強い気持ちと教育方針が鍵を握る。親が、二つの教育と文化を教える姿勢を曲げることなく、しっかりしたスタンスで教育をしていけば、子供はバイリンガルとして成長していく。教育に力を注ぎ込めば込むほど、その成果は顕著に表れる。それは単にお金を払って学校に任せるのではなく、親も子供と一緒になって工夫していく必要性がある。
どんな子供でも、二つも勉強しないといけないことが嫌になる時期が必ず来る。親としても、子供に負担をかけ過ぎているのではないかと不安に思う時期も来るはずだ。しかしこの岐路に立ったときこそ、親が適切な道を選んであげることが、バイリンガルになれるかなれないか大きな分かれ道になる。シビアな考えかた?確かそうかもしれないが、人並み以上の努力もせずに本当のバイリンガルには絶対になれないと思う。
親として子供に多言語・多文化という便利な「道具」を与えることができれば、あとは本人がどのようにその便利な道具を使いこなしていくかを楽しみに見守ってあげればいい。最終的に、その道具を使うか使わないかは本人が決めることになるが、誰にも奪われることのない生涯の財産になるであろう。
言語だけでは不十分?
私にとって真のバイリンガルとは、二つの言語を駆使する以上のものだ。両文化をしっかり理解し、どんな環境や状況に置かれようが、偏見のない広い心と視野を持つ人間こそが真のバイリンガルだと信じている。自分の考え方と違う人に出会ったり、慣れない環境に置かれたりしても、柔軟に対応し、変化を受け入れることが出来ること。それは幼少期から、数多くの変化に順応する必要性があったハーフ独特のギフトだと思っている。そして、両文化と両言語を理解することで、人間関係もより広がり、世界で通用する人間になれる。以前から何度も述べてきたが、言語と文化には密接な関係がある。言葉だけでは意思疎通できないことは沢山ある。言語と文化の両方を深く理解している人こそが、私の考えるバイリンガルハーフである。
二つの言語と文化を理解できることは非常に便利なことであって、それ以上でも、それ以下でもない。そして、その便利な道具は人を豊かにしてくれる。バイリンガルハーフとして、自分が持ち合わせているこの「便利な道具」を人のために使い、その人たちも豊かにすることで、自分だけでなく皆も幸せにすることが出来るのだと信じている。
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いつも楽しく勉強させていただいてます!
ところで、私のお腹の中にもうすぐ産まれるハーフの子がいます。今後子育てしていく上で、今回のテーマは本当に参考になりました。「他の人と違うことは良いこと」だとか、ハーフの子供の立場からの意見が聞けて、将来我が子が悩んだときに親としての接し方のヒントを得たように思います。夫と共に、愛情を沢山注いで、子供がハーフ独特の悩みや困難を乗り越えられるよう、温かく見守っていきたいです。
こんにちは。いつもHapa英会話で学習していただき、ありがとうございます。今回のコラムが参考になってよかったです!良い意味でも、悪い意味でもハーフにはハーフしか経験できないことがたくさんあります。ハーフとしての悩みを理解してあげて、後ろからそっと支えてあげること重要だと思います。子供の時は理解できませんが、大人になってから必ず親を感謝します。素晴らしいハーフの子供を育ててください!
淳さん
私はその「便利な道具」を日本の為に使ってほしいと思っています。日本の外交官とかスポーツの分野で。それには日本が貴重なバイリンガルハーフを受け入れる体制を作らないといけないですね。
Agreed! 頑張ります!
私はバイリンガルハーフになれなかったハーフです。(英語圏ではないですが、、、)今までは日本語しか話せないコンプレックスを、笑い話にして流してきました。しかし今年から社会人になり、笑い話にする事が恥ずかしいと感じる自分に気付き始めました。
話せそうなのに!と言われる事に辛くなってきました。
ハーフででなくても海外へ憧れや興味を持ち、語学を習得する人達は沢山いると思います。
自分ももっと広い世界へ視野を広げたい。
父方の祖父母や従兄弟とも、父の通訳なしで交流を深めたいと感じるようになりました。
仕事で帰る時間も定まらないため、このようにネットで勉強出来るツールを探していたところ、HAPA英会話を見つけました。
これから語学から文化まで、自分の世界を外へと広げていけるよう、hapa英会話のお力も借りながら少しずつ成長して行きたいと思います。